認知症の相続人がいる場合

2021.07.16 相続

【ケース】
Aさん(男性、80歳)が亡くなりました。Aさんには、妻B子さん(78歳。最近、物忘れが激しく、認知症の症状が進んできた)と長男、長女がいます。Aさんの財産は、土地、建物及び預貯金です。このようなケースでは、相続手続きをどのように進めていけばいいのでしょうか。

 

●成年後見人の選任申立をする

最も一般的なのが、家庭裁判所にB子さんの「後見開始の審判」の申立をする方法です。
これが認められると、B子さんに成年後見人が選任されますので、この成年後見人と長男、長女の3人で遺産分割協議を行います。
この場合、例えば、長男に全財産を相続させるとしたり、B子さんを除く子供2人で全財産を分割することは、原則としてできません。
何故なら、B子さんの法定相続分である2分の1相当の財産は、成年被後見人であるB子さんのために確保する必要があるからです。
預貯金が多額の場合は、B子さんは全財産の2分の1相当額の預貯金を相続し、土地、建物は長男が相続し、残りの預貯金は長女が相続するなどの分け方もありますが、いずれにしても、少々複雑な相続になることが予想できます。